宮崎県総合青少年センター

設計:坂倉建築研究所 1975

宮崎市街から青島に行く少し手前、野球場や木造ドームの体育館など、運動施設が集まるところにそれはあった。クルマを駐車場に入れると、あたりにはテレビの取材クルーらしき者もいる。どうやら読売ジャイアンツが秋季キャンプにきているらしい。

青少年センターの建物へは橋でアプローチする。池の上に鮮やかな白のボリュームが浮いている。建築デザインの流れでいえば、出隅をナナメにカットしているところなかは、スターリングっぽい。輝かしい未来志向のデザインは、21世紀を担う子供たち(オレたち?)のためを意識してのことだろう。特撮ヒーローものの基地みたいにも見える。

青少年センターとか、少年自然の家という施設タイプは、大阪の坂倉事務所が得意としているが、これは同じ坂倉でも東京事務所が担当。阪田誠造。西野善介らが設計にあたっている。
坂倉というと、新宿駅西口広場に代表される都市インフラから東急系の商業施設まで幅広い分野を得意とする設計事務所だが、最近はサレジオや聖イグナチオなど教会建築に代表される「しぶい」建築のイメージが強いかもしれない。しかし、もともとこういうやんちゃな面はもっていた。大阪万博の電力館がやはり、ボリュームを空中に浮かべたような建築だった。そしてこの流れは、日立シビックセンター、桐生市市民文化会館などへと続いていく。

許可を得て内部に入ると、吹き抜けでつながるラウンジのさわやかさは絶品。廊下には丸窓があり、そこから外の水面を見ると、気分はすっかり客船のなかだ。洗面所は廊下から外部へ突き出るようにあり、このあたりはメタボリズムふう。
子供たちにとって、学校の友達といっしょに泊まるというだけでワクワクする体験だが、それを倍加するような近未来ふうの非日常的な空間ができている。

すっかり満足して建物を後にし、駐車場に向かうと、その管理人らしき人が声をかけてきた。

「練習をやってるのは反対側のグラウンドだよ」
どうやら我々を、ジャイアンツの選手を見に来た観光客と思ったらしい。親切に教えてくれたのはうれしいが、オレたちにとっては、たとえ上原が来てようが清原が来てようが、お目当ては坂倉の建築なのだよ。口に出して言い返しはしなかったが。

(取材日:2004年11月9日)